うちがガラスコーティングをやらない理由

記事内のフロントパネルの名称表記について

【2021年3月15日更新】

記事内に登場します液晶純正パネルは、現在、液晶再生パネルに表記を変更しております。
あらかじめご理解の上、読み進めて頂けますと幸いでございます。
なお、名称を変更しただけで、パネル自体に変化はありません。

iPhone8から背面がガラス製になり、裏・表に関わらず「iPhoneを割る」という確率が上がっている今日この頃。

AppleがiPhoneXの発表会で「史上最強に硬いガラスを使っている」と自慢げに言っていましたが、それでも割っちゃう方は割っちゃいます。

しかも、背面もガラスになったもんだから、割る確率自体は倍になっています。

iPhone XRが発売された頃、師匠に「ガラスコーティングを始めたい!」と提案してみたことがあります。

ガラスコーティングとは

専用のコーティング剤を表面に塗布することによって、塗布した場所の強度を上げるもの。
表面に傷が付くのを防ぐ、衝撃を吸収するので割れるのを防ぐ、抗菌性。
スマートフォンやタブレットなどの電子機器や車のボディなどに使われる。

iPhone8とiPhoneXは再生パネルの原価が高いのと質がイマイチだったので、 まだ積極的に画面の修理を始めることができず、それにより流出してしまう損を補うためと、純粋に両面がガラスになっているのでコーティングに需要があるかと思ったからです。

しかし、師匠が良い顔をしてくれませんでした。

そのため、結局始めないで今に至ります。

コーティングって大した技術もいらない割に利益率が高いので、非常に優秀なサイドビジネスなんです。

スマートフォンの修理店で取り扱っているところは多いですが、その他に最近はネイルサロンなんかでもよく見かけます。

始めるのにそんなに大変でもないし、リスクもありません。

では、こんなにメリットしか無さそうなコーティングを師匠がなぜ良い顔をしないのか、そこには理由があります。

iPhoneというのは「角が弱い」という特徴があります。

ガラスコーティングのPR動画で表面を上からトンカチで叩いたり何かを落として、それで割れないから「こんなに効果があるんです!」というものをよく見かけませんか?

しかし、iPhone自身もそもそもそれだけでも、上からの衝撃には結構強いです。

Appleが「史上最強のガラスを使っている」というように、iPhoneのガラス自体もどんどん品質は上がっているはずで、ちょっとやそっとのことでは壊れません。

じゃあ、どうして画面を割ってしまう人がこんなにも多いかというと「角を守っていない」からです。

iPhoneを壊してしまう時、大抵の方は落とした時かと思うのですが、そういうのはだいたい角から落としています。

画面修理のお客様は、もうほとんど例外なく、角に大なりしょうなりの打痕があります。

フロントガラスを割ってしまうのは、大抵がしっかりとしたケースを使っていないことが原因です。

ですので、結局、いくら画面を守ったところで角を守らないと「画面を割らない」という点においてはあまり意味がありません。


意味が無いってことはないんでしょうけど「コーティングに3,000円も4,000円も使うくらいなら、ガラスフィルムとケースにお金を使ってガッチリ保護してほしい」という気持ちに、師匠はなってしまうんだそうです。

もちろん「割らない」と言うことに対して、全く意味が無いということはないと思います。

私もPR動画を見ましたが、コーティング剤自体は非常に良いものだと思いましたし、“傷から守る”という意味ではかなりお勧めかと思います。

ですので、車のボディなんかにはピッタリだと思いますし、iPhoneでも裏面だったら悪くないと思うんですね。

しかし「フロント画面」に、特に画面交換したお客様に、プロとして「ガラスコーディング」をお勧めすることは正直、あまり出来ません。

うちの画面交換のお客様は、8割以上が液晶純正パネルをお選びになるため、画面交換だけでも少なくない修理料金がかかっています。

その上コーティングまでやって、その後簡単に割れてしまったり、故障してしまったらどう思いますか?

「あー無駄だったな」と思いますよね。

「あんなに高かったのにすぐ壊れたんだけど」と不満に繋がってしまいますよね。

それによって、プロとしての説得力が無くなってしまうのを、師匠は何よりも恐れています。

私たちは画面交換後、「今後はしっかりとしたケースを付けて角をしっかり守ってください」と指導しております。

それだけ角を守るということが、画面にとっては大切です。

画面交換後、コーティングにお金を使うのであれば、画面のためにはうちの最強セット(保護ケースと強化ガラスのセット)の方が絶対にいいです。

だから、私たちはコーティングを取り扱っていません。


昔、師匠がまだ東京のお店で働いていた頃、そのお店ではガラスコーティングを取り扱っていたそうです。

その時、画面の修理にいらしたお客様に「このガラスコーティングって効果あるんですか?」と尋ねられたとき、「どうですかね。これよりもガラスフィルムとケースの方が効果ありますよ。」と言ってほとんど受けなかったそうです(笑)

従業員としては良くないですが(笑)、私は師匠のこういうお客様に誠実なところを尊敬しています。




先ほど言ったように、ネイルサロンなどの修理のプロで無ければ、問題ないと思います。

コーティングした後に、画面を割ったり壊してしまったりしても、説得力が無くなり、信頼を失うということもありません。

なぜなら、iPhoneのプロでは無いので、そもそもそこにプロとしての意見は求めてないじゃないですか。

ですので「綺麗に保つ」などのアプローチであれば、その後壊してしまっても特に問題ないと思うんですね。

しかし、私たち修理店というのはiPhoneのプロです。

そこには必ず説得力が無ければお客様からの信頼は得られません。

だから、修理店でも「割れることを防ぐ」というアプローチではなく「綺麗に保つため」というアプローチであれば、説得力があると思うのですが「割らないために」というアプローチだと、ちょっと危うい感じがしてしまいます。

まぁやらないよりはいいんでしょうけど、それよりもちゃんとしたケースを買うのが先です。

以上が、うちがガラスコーティングを取り扱っていない理由です。

ただ、裏面には結構いいんじゃないかと思っているので、今後取り扱いを始めることもあるかもしれませんが、引き続きフロント画面にはお勧めはしないと思います。

勘違いして欲しくないのは、ガラスコーティングをやっている修理店を批判するつもりも、他業種の方を批判するつもりもありません。

これはあくまでも当社の意見です。

信じるも信じないも、やるもやらないもユーザーの方次第です。

当社はこう思っているから取り扱っていないだけで、みんながみんな同じ意見なわけでもないですし、それは人それぞれです。

いち意見として参考にして頂けますと幸いです。


コーティングしておけば傷がつきにくいので、売る時に高く売れそうですよね。

そういうメリットもあると思いますね。

いずれにしましても他者を批判する意はありませんので、その点はご理解ください。


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ー後日談ー

2020年3月15日更新

結局いまだにコーティングは取り扱いしていません。

千葉がうんと言いません。

個人的な意見として、修理店でコーティングを推しているところは「あぁ、修理では儲かっていないんだなぁ」と感じます。

コーティングやると、一気に単価上がりますからね。

まぁ、やりたい方はやればいいのではないでしょうか。

今思ったのですが、ガラスコーティングは「抗菌性」も高いようなので、この時期、コロナウイルスの感染対策としてのアプローチであればいいかもしれないですね!(効果があるのかは分からないけど)

師匠にそれを言ったら「あぁ」と言われて終わりましたので、うちではまだ取り扱わなそうです。笑