やらないことを決める。それが経営だ

このコラム購読者の方にはお馴染みですが、私は今も父の経営する会社で経理の仕事を続けています。

経理の仕事は勉強にもなるしそれなりに楽しんでもいるので、特にやめる予定もなく、父が会社を経営しているうちは続けていこうと思っています。

iFoneターミナルをもう少し大きくできれば、その時は師匠に譲ろうかななんて最近は考え始めていますね。

師匠に言ったことないですが。笑

さて、先日、父の会社でこんなことがありました。

父はタクシー会社を経営しているのですが、タクシーというのは消耗品なので、メンテナンスが必要です。

営業車が調子が悪くなったら、すぐに修理・メンテナンスする必要があるため、そういう時にお世話になる自動車整備会社(以下・A社)というのがあります。

ここはまぁ言ってみれば私たちのような「街の修理店」ですね。

「早い」「安い」「融通の利く」という意味で、私たちと同じような立場です。

ただ、非正規店と言っても、こちらの整備会社は非常に経験豊富ですので、その辺のiPhone修理屋とは訳が違いますが、立場としては近いですよね。

で、ちょっと前から父がタクシーとしてプリウスを導入し始めたんですね。

知り合いの社長さんから格安で譲っていただける機会があったらしくて、いま、10台中2台がプリウスです。

あとの8台はクラウンです。

A社は昔から主にクラウンを取り扱ってきているため、プリウスの修理に関してはあまり経験がないらしくて、修理に出そうとしても断られることがあるそうなんですね。

父、お客さんとしてはいつもタクシーを修理してもらっているわけだから同じようにやって欲しいと思うだろうし、同じように出来るとも思うわけですよね。

私は車のことについてはよく分からないので、ここからは想像でしかないのですが、多分クラウンとプリウスはつくりが違うため、クラウンの知識ではプリウスは修理できないのではないかな、と。

たとえ技術的には可能だとしても、場数が少ないため、修理したとしても正常に動かず誤作動を起こす可能性があり、自信をもって受けられないので断っているのではないかと思いました。

結局、父はプリウスに関してはトヨタの正規店で修理・メンテナンスしてもらうことに決めたそうです。

クラウンは今まで通り、A社に出すそうですけどね。

では、このA社は、一生懸命プリウスの修理の勉強をして、父の希望を叶えるべきなのか?

みなさんはどう思いますか?

私は「No」だと思います。

今まで通り、クラウンの修理に全身全霊を注ぎ、クラウンを完璧に修理することに注力するべきだと思います。

父は「プリウスやってくれないんだよ〜」と言っていましたが、私はやる必要なんか無いと思いますね。

A社が正解だな、と。

どうしてかというと、この辺のタクシーはクラウンが主流なんですね。

おそらくA社の取り扱う車のほとんどはクラウンなはずです。

父は新しいものが好き、というか、人と違うことをするのが好きなのでプリウスを入れていますが、ほとんどクラウン。

プリウスの修理ができるようになったところで、正直、大した売上増にはならないと思うんですよね。

ましてやまだ慣れてもいないから、リスクがそれなりにあるわけです。

そんな状態でプリウスの修理を受けたところで、何の得があるのか?

もちろんこれは完全に私個人的な意見であり、A社から直接聞いたわけではありませんので、そこはご理解をお願いします。


「やらないことを決める。それが経営だ」

本日のタイトルは、Apple創業者であるスティーブ・ジョブズがGoogle創業者であるラリー・ペイジにしたアドバイスとして非常に有名な言葉です。

例えば、うちの場合でいうと、私は「iPhone X以降の修理は受けない」と決めています。

理由は、3つ。

①液晶純正パネルの原価が高すぎる
②顔認証の修理事故とその対策法の事例が足りない
③①、②の理由より非正規店に修理に出すメリットが見つからない


上記3つの理由により、毎日のように頂くiPhone X以降の修理のご依頼をすべてお断りしています。

ただでさえ、今はもう機種が増えすぎてしまっていて、私の2店舗で液晶純正パネルの質を保つことに非常に苦慮しているんですね。

そんな中で画面1枚の原価だけで2万も3万もかかっていたら、費用を考えた時に他機種のパネルの質を下げざるを得なくなります。

そしたら、ターゲットとしている「まともに修理したい」というお客様からの支持を失うことになります。

だから、未だにX以降の修理は始めていないんですね。

研修事業ではiPhone Xの修理を教えていますので、技術的にはもちろん可能です。

ただ、あえて「やらない」という選択をしています。

しかし、今日の夜中に新しい機種が発表されるため、近いうち既存種のパネル代が下がると思うので、そしたらiPhone XRは始めようかと思っています。

XRは一応、廉価版という位置付けなので、非正規店との相性もいいかなと思うからです。


師匠とも話しているのですが、そもそもiPhone X・XSのような高額・高機能機種というのは非正規店との相性が悪いと思っています。

こんな高額で高機能な機種をコピーパネルで修理するなんてあり得ないと思うし、もし、うちが今の段階で液晶純正パネルでの修理を受けるとなると、修理代として4〜5万はいただく必要があります。

もちろん、これは決してぼったくっているわけではありませんよ。笑

原価が高すぎるので、これくらいの価格設定にしないと利益が出ないんです。

じゃあうちがこの修理を始めたとして「修理代4万円です!」と言って、ポンと払える(払おうと思える)人が果たしてどれだけいると思いますか?

この4万円で程度のいい中古のiPhone8買えますからね。

だから、非正規店と高額機種は相性が悪いな、と常々思っています。

7のガラス割れの修理料金12,980円ですら「高!」と言われることありますからね。笑

うちで修理代4万円です、なんて言ったら、ぶったまげて速攻帰ると思いますよ、お客さん。

だからと言ってこんな高額機種をコピーパネルでなんか修理する気にはならないですし、コピーパネルは取り付けるリスクもあるので、そのリスクを冒してまで修理を受ける必要があるのか?という話ですよね。

もちろん、本当にもったいないとは思いますよ。

売上を上げる機会をみすみす逃しているわけですからね。

機会損失は店舗としてはもっともやってはいけないことです。

私も日々「これで正しいのか?」と正直言うと、悩んでもいます。

そこにはまだ答えは出ません。

しかし、ジョブズの言葉を信じて進むしかないとも思います。

人間の時間と資産は有限(一部資産が無限にある人もいますが)であり、その中でベストを尽くすしかないわけですよね。

もちろん、その中にはできないことも沢山あるので、取捨選択をしていかなければいけない。

全く挑戦しないというのも、そんなつまらない人生はないと思いますが、挑戦する場を見極めるということでしょうか。

私は今のところ「iPhone X以降の画面修理を受ける」という挑戦ではなく「iPhone8Plus以前の液晶純正パネルの質を高める」という挑戦をしています。

奇しくも、本日はジョブズのつくったiPhoneの新作発表会です。

私は毎年、発表会の次の日にyoutubeで新作をチェックするのが日課なので、ジョブズに想いを馳せながら発表会を鑑賞したいと思います。