【iPhoneSE】明るさの自動調整が消えた
先日、後楽園店にご相談をいただいた内容が、非常に「非正規店らしい」ものでしたので、本日はこちらをシェアさせていただきますね。
お客様、ご来店誠にありがとうございました!
栃木県からお越しいただきました^^
ご相談いただいた内容としては、以下の通りです。
「iPhoneSEを使用しているのですが、明るさの自動調節の項目がいつの間にか消えています。ホームページの記事を見てご連絡させていただいたのですが、こちらを復活させることは可能ですか?」
お客様がご覧下さったという記事は、こちらです。
非正規店での修理歴を伺ったところ「少し前に非正規店にバッテリー交換に出した」とのことでした。
そのお話から「コピーのセンサーケーブルが取り付けられたことが原因だろうな」と感じたのですが、とりあえず店舗に端末を持ってきていただき、点検しました。
実際に取り付けてあったセンサーケーブル。
やはり予想通り、コピーのセンサーケーブルが取り付けてありました。
おそらくですね、非正規店でのバッテリー交換時、センサーケーブルを壊してしまい、修理店側が黙ってコピーケーブルと交換したんだと思います。
画面交換時にセンサーケーブルを傷つけてしまうということは結構あるのですが、バッテリー交換時というのは非常に珍しいケースです。
ただ、私たち民間の修理店は、手で修理しますので、予期せぬ事故のようなものは、正直あります。
ですので、うちの場合、修理を受けている端末の一通りのパーツは、基本的に常時置いてあります。(たまに無いのもあるのですが)
万が一、壊してしまってもすぐに対応できるようにです。
まともな修理店であれば、みんなそうしていると思います。
今回のお客様のケースでも、予期せぬ事故でセンサーケーブルを壊してしまったため、手元に用意しておいたコピーケーブルと交換したのではないかと思うんですね。
多くの非正規店では環境光センサーが搭載されていない「コピーケーブル」を使用しています。
この環境光センサーの搭載されていないケーブルをしばらく取り付けていると、明るさの自動調節の項目が消失するという事態に陥ります。
今回の原因はまさしく「それ」でした。
(左が今回のお客様の端末、右はうちにある端末)
ですので、今回は当社にて、環境光センサーの搭載されているセンサーケーブルを取り付け、復元致しました。
無事”明るさの自動調節”の項目が戻りましたね。
本日のご修理代金はセンサーケーブル交換と復元で10,000円ほどでした。
もし、同じ症状でお困りの方がいらっしゃいましたら、うちなら直せますのでお声かけください^^
ただこの場合、初期化しますので、
・”iPhoneを探す”をオフにすること
・データのバックアップを取ってきていただくこと
が条件ですので、その点だけご注意ください。
お客様、ご利用誠にありがとうございました!
さて、今回はもう少し書かせていただきます。
私たちはすべての修理を原則手作業で行います。
ですので、やはり修理のリスクというものはゼロではありません。
勿論、細心の注意を払い、全身全霊で修理を行ってはおりますが、私の経験上、絶対に防げない「不可抗力の事故」というものもあります。
それに対して、私は言い訳するつもりは毛頭ありません。
そういうリスクも含めた商売だからです。
もし修理事故が起きてしまったとして、たとえその原因が自分ではなかったとしても、壊れた事実は真摯に受け止め、お客様には心から謝ります。
また、端末を元の状態に戻せるように、誠心誠意対応しなければいけないと思っています。
そのためにも常日頃から、しっかりと準備をしておかなければいけません。
今回のケースでは、センサーケーブルを壊したこと自体は仕方のないことだと思うんですね。
誰も壊そうと思って壊す人など、いません。
バッテリー交換で壊してしまったくらいなので、おそらく不慮の事故のようなものだったんだと思います。
しかし、もし、壊してしまったのだとしたら、やはりちゃんと元の状態に戻すことが最低限、ですよね。
自分で壊したものを勝手にコピーに交換して、その上、本来あるべき機能を消失させるなんていうのは絶対にあってはいけないことだと、私自身は思います。
ただ、とは言っても、これは私の予想ですが、おそらくこの修理をした人は「センサーケーブルにコピーがある」なんてこと自体知らないのではないかと思います。
ですので、安易にセンサーケーブルを黙って交換してしまったのだと思います。
この修理をした方は、正直、勉強不足で未熟です。
しかし、こういう修理を見る度に「私も人のことは言えない」とも思うし「精進しよう」と身を引き締めます。
私にもまだまだ知らないことがあると思うからです。
そして、私たち民間の修理店は自分の取り扱うものに関して、妥協をしてはいけないと思うんです。
今回のセンサーケーブルにしても、きちんと探せば、環境光センサーの搭載されているケーブルだって用意できます。
環境光センサーの乗っていないコピーケーブルの方が安価だし、大量に販売されていますけどね。
特にセンサーケーブルというのは”起動”という面でも非常に重要な役割を担っています。
センサーケーブルが不調だと、りんごループに陥ることさえあるんですね。
私たちはセンサーケーブルは、特に気を遣って取り扱いをしています。
「神は細部に宿る」
この言葉は、私たちの仕事においては、格言だと思います。
店のコンセプトにしてもいいくらい。
細かいことまで考え、用意し、実行するのは本当に面倒ですが、そこまでやってこそ「お金を払う価値がある」と思っていただけるではないでしょうか。
悲しいかな、まだまだiPhone修理店は素人に毛の生えた程度の店ばかりで、細部どころか大枠すらまともに出来ていないところも多いです。
難しいことに、これは修理店の営業期間、経験の長さにはが全く関係ありません。
5年やってても頓珍漢な奴も沢山いるのが現状です。
なぜかというと、これは私のいち意見として読んで頂きたいのですが、そういうお客さんしか相手にしていないから、かなと。
価格競争に巻き込まれて安くすることにだけに力を注いでいると、安値至上主義のお客さんしか来ません。
安さしか求めていないお客さんを相手にするのって正直楽なんですよ。
安くさえすれば多少品質に問題があっても文句も言われないですし、細かい機能面の問題なんて気にしていない人が大半だからです。
こんな環境で何年やっていたって、技術者のレベルが成長するはずもありません。
厳しい目を持ったお客様の要求に応える努力をしてこそ、自分のレベルというのは上がるものです。
「もうこんなもんでいいだろう」とか、「業者がこうなんだから仕方ない、自分のせいではない」などと、妥協し始めたら「辞め時かな」と、私は思いますね。
人のせいにして妥協するのは簡単ですが、お客様は何のために私に高い金を払って修理を依頼するのか分からないですよね。
その姿勢はお客様に対して失礼なので、もし、妥協し始めたら私は辞めますね。
「明るさの自動調節なんて無くてもさほど困らない機能だし、そもそも無くても気付く人なんて稀なんだから別にいいだろう」という気持ちも分かります。
しかし、そういう細かいことをきっちりやっていくかどうかが、他の修理のあがりにも出るし、ひいては店の評判や信頼にも繋がっていくと私は思っています。
仕事というものは、なんだって一時が万事です。
では、お客様、ご利用ありがとうございました^-